2025年 7月20日 宝は 生かしてこそ 尊い
聖霊降臨節第7主日 新約聖書 マタイによる福音書 25章10~21節
はじめに
現代社会では、自分の価値を疑い、他人と比べて落ち込む人が多いですね。しかし、このたとえ話によれば、神さまはすべての人に「その人に応じて」大切なもの=タラントン(賜物・持ち味)を託しておられます。パウロも「私たちはこのような宝を、土の器の中に納めています」と語り、壊れやすい人生の中にこそ、神の宝があると述べています。
1. それぞれに託されたものがある
タラントンは貨幣の単位で、ここでは1億円として考えてみます。五タラントン(五億円)や二タラントン(二億円)を預けられた「しもべ」たちは、それを恐れずに生かし、主人から「よくやった、忠実なしもべ」と喜びの言葉をかけられます。神さまは、結果の大小ではなく、誠実に生かそうとする「姿勢」を重んじられました。
2. 恐れずに用いた者に、主は喜びを
一方、三番目の「しもべ」は、恐れのあまり1タラントン(一億円)を土に埋めてしまい、主人から「怠け者」と非難されます。恐れは信仰を閉ざす力ですから、神さまの期待に背を向けてしまいます。私自身も、教会の空きスペース活用に悩む中で、この「恐れるしもべ」に自分を重ねます。しかし、申命記には「強く、雄々しくあれ…主は共に歩まれる」とあるように、神さまは失敗を恐れる私たちを力づけてくださると語ります。
3. 恐れが信仰を閉ざすことがある
「宝を生かす」ことは、銀行に預けて利子を得るような「少しの働き」でも十分に意味があると説明されています。たとえそれがどんなに小さなことであっても、誰かのため、神の国のためになるなら、それこそが信仰の応答であり、神さまはそれを喜ばれます。
4. 宝を生かすことが、信仰の応答
最後に、ペトロの手紙から「賜物を生かして互いに仕えなさい」という言葉を紹介いたします。「talent(才能)」という英単語の語源は、「タラントン」(talent)から来ています。ただし、聖書における「タラントン」は、能力というよりも「神さまから託された賜物」です。
「宝は、生かしてこそ尊い」――それが私たちの信仰のかたちです。私たち一人ひとりに託された言葉や時間、経験などを恐れずに生かし、神さまへの応答として歩んでいきましょう。神さまは私たちの小さな忠実を喜び、「よくやった」と迎えてくださいます。
5. まとめ
神さまは、一人ひとりに、かけがえのない『宝もの』を託してくださっています。ほかの誰かと比べる必要のない、あなただけの宝です。あなたにしか出会えない人、あなたにしか語れない言葉、あなたにしかできない祈りがあるのです。
どうぞ、恐れずにそれを生かしてください。神さまはあなたを信頼して、その賜物を託しておられます。そして、こう語りかけてくださるでしょう。
「よくやった、忠実な良いしもべだ。…わたしの喜びをともに喜んでくれ。」
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